2026/07/29
更新: 2026/07/30

円資産だけで本当に大丈夫? ~なぜ富裕層は通貨を分散するのか~

円資産だけで本当に大丈夫? ~なぜ富裕層は通貨を分散するのか~

約4分で読めます

前回は、インフレによって現金の購買力が低下する可能性についてお話しました。

そこで次に考えたいのが、「どの資産を持つか」だけではなく、
「どの通貨で持つか」という視点です。

私たち日本人は、日常生活のほとんどを日本円で送っています。

そのため、気付かないうちに資産も日本円に集中しているケースが少なくありません。

しかし資産防衛という観点では、一つの通貨だけに依存することもリスクになり得ます。

今回は、なぜ富裕層が通貨分散を重視するのかについて考えてみたいと思います。

私たちは想像以上に「円」に集中している

例えば多くの方は、

  • 給与
  • 預金
  • 年金
  • 保険
  • 自宅不動産

などを日本円で保有しています。

 つまり、資産の種類は分散されているように見えても、通貨という視点では日本円に集中していることがあります。

もし日本円の価値が大きく変化した場合、資産全体に影響が及ぶ可能性があります。

 投資の世界では、「一つに集中しない」ことが基本原則です。

これは通貨についても同じです。

富裕層はなぜ外貨資産を持つのか

富裕層のポートフォリオを見ると、一定割合の外貨建て資産を保有しているケースが多く見られます。

その理由は、海外投資が好きだからではありません。

本質的には、資産を守るためです。

例えば、金融資産が数千万円、あるいは数億円規模になると、

資産を大きく増やすこと以上に、長期的に維持することが重要になります。

その際、一つの国や一つの通貨だけに依存する状態は、避けたいリスクの一つとなります。

円安・円高は予測できない

近年、円安によって海外旅行費用や輸入品価格が上昇し、為替の影響を実感した方も多いと思います。

一方で、過去には急激な円高局面もありました。

重要なのは、将来の為替を正確に予測できる人はいないということです。

専門家であっても、数年後の為替水準を当て続けることは困難です。

だからこそ、「円安になるからドルを買う」という発想ではなく、
「どちらになっても対応できる状態を作る」という考え方が重要になります。

通貨分散の目的は利益ではなく防衛

外貨資産というと、為替差益を狙う投資だと思われることがあります。

しかし本来の通貨分散は、利益を追求するためではありません。

目的は、資産全体の安定性を高めることです。

例えば、すべての資産を日本円で持つ場合と、円と米ドルに分散する場合では、
特定の通貨価値の変化による影響が異なります。

通貨分散は、資産全体の耐久力を高めるための仕組みとも言えるでしょう。

世界の資産家は「自国だけ」に依存しない

資産運用の世界には、「ホームカントリーバイアス」という言葉があります。

これは、自国資産を必要以上に多く保有してしまう傾向を指します。

日本人は日本円や日本株を好み、アメリカ人は米ドルや米国株を好みます。これは自然な心理です。

しかし、長期的な資産防衛を考える際には、自国だけに依存しない視点も重要になります。

実際に多くの機関投資家や富裕層は、複数の国や地域へ資産を分散しています。

通貨分散と資産分散はセットで考える

ここで大切なのは、通貨だけを分散しても十分ではないということです。

例えば、同じ米ドル建て資産であっても、

  • 株式
  • 債券
  • 不動産
  • オルタナティブ投資

では、収益構造も値動きも異なります。

本当に重要なのは、資産分散と通貨分散を組み合わせることです。

複数の資産、
複数の通貨、
複数の収益源を持つことで、
環境変化への対応力を高めることができます。

富裕層が考える「資産の国際分散」

富裕層の資産運用では、日本国内だけで完結しないケースが少なくありません。

その背景には、「日本が良いか悪いか」という議論ではなく、

「資産を一つの国だけに依存させない」という考え方があります。

国内資産と海外資産を組み合わせることで、
異なる経済環境や成長機会へアクセスできる可能性が広がります。

これは資産を増やすためだけでなく、守るための戦略でもあるのです。

まとめ

私たちは気付かないうちに、日本円へ大きく集中投資している場合があります。

しかし、資産防衛という観点では、一つの通貨だけに依存しないことが重要です。

富裕層が外貨資産を保有するのは、為替で利益を狙うためではありません。

長期的な資産の安定性を高めるためです。

重要なのは、どの通貨が勝つかを予想することではなく、
どのような環境になっても対応できる資産構成を持つことです。

次回は、
価格変動だけではない投資のリスクについて整理しながら、
資産防衛に必要な考え方をさらに深掘りしていきます。

執筆者

山田 和弘

山田 和弘

Walton Global株式会社
バイス・プレジデント

大手生命保険会社に8年半勤務した後、独立。
ファイナンシャルプランナー(FP)会社の役員として21年間にわたり経営を牽引してきた。生命保険、損害保険、証券、不動産を網羅したワンストップでの資産見直し提案を得意とし、これまでに4,000世帯を超える有料相談を解決に導いた確かな実績を誇る。FP時代にWaltonと出会い、同社の事業に参画。通算17年目となる現在、Walton Global株式会社のVice Presidentとして重責を担う。自身も日米双方で不動産投資を行う実践者であり、その豊富な現場経験に基づく「アメリカ不動産と日本不動産の違い」の明快かつ説得力のある解説には定評がある。

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